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 公立高校とはいえ創立100年を超える文武両道の名門校、県立城北高校。  卒業生には現市長をはじめ市会議員や県会議員、商工会議所のお偉方も多数いて、野球部の動向を見張って……もとい、見守っているのである。  だから、父母会会長ともなれば、そんなお歴々との交流も深く……必然的に名士と呼ばれる者が代々選出されることが多い。  代表と名がつくだけの、その実雑用係の1・2年の学年代表と違って、父母会会長は(たとえ実際にしきるのが母親であっても)男性が選出されるのが決まりというか慣例である。  地元企業の社長さんで、市長さんとも同級生だったという彼女の旦那さんを、幸恵さんは見たことがない。  父の会、というのがあって、普段多忙なため父母会活動に参加できない父親の交流会(というか結局飲み会)に参加させられた夫が言うには、なかなか気働きの出来る、腰の低い人物だということであるが。 (というか、そもそも父親は忙しいから交流会で飲み食いだけで、母親は暇だから散々こき使われる、という決めつけはひどい! 男女差別だ! と頭に来る幸恵さんなんだけど)
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