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その危ない雰囲気に、颯さんを止めようと思わず声をかける。
「そ、颯さ、」
「さっきから黙って聞いていれば、此奴は男ではないか!!しかも綾ちゃんだと?!こんなガタイのいい男を捕まえてちゃん付けなど気色悪い!大体なんだ、お前の趣味はいつからこんなものになっていたんだ?ん???」
俺の言葉すら遮って父親は怒鳴り散らす。恵美さんも流石に萎縮しているようで、オロオロとしている。
俺がどうしていようか迷っている間も父親はヒートアップしていく。
「それにお前、せっかく海外に連れて行って大学に飛び級で入学させようとしたのに、入学手前で断りをいれるとは!高校課程なら中学のうちにホームスクールで学習しただろう?!なぜあんな学園に突然入学した!しかも落第生のクラスだそうだな!近衛として恥ずかしくないのか?それともなんだ、あそこに通ってから頭も弱くなったのか?!だから色恋にかまけるようになったし、こんな奴を恋人として連れてきたんだろう!!!」
「……お前、」
捲し立てる様に叫ぶ父親に、颯さんが思わず立ち上がりかける。その瞬間、俺は声をかけた。
「ちょっと、いいだろうか??」
「っ、綾ちゃん…?」
颯さんの腕を引っ張って座らせながら、父親を睨みつける。
「なんだ!これはうちの問題だぞ!部外者が口を挟むんじゃない!この、薄汚い雌犬が!」
「てめえ!!」
バンッ!!!と大きな音で思わずテーブルを叩く。
「 す こ し、黙 っ て て く れ る か?」
すまんな、ヒビは入ってないと思うが今ちょっとムカついててコントロール出来てる自信が無い。
大きな音に驚いたのか、一瞬で静かになった空間で俺は話し出した。
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