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そこで俺の口は止まらずに、続けて言った。
「俺は貴方に何を言われようが、颯さんに嫌われない限りはその想いに答え続けますよ。
…愛してますから。」
そこまで言うと、俺は恵美さんの方を見て頭を下げた。
「せっかく素敵な食事を用意してくださったのに台無しにしてしまい申し訳ありませんでした。これ以上俺がここにいても空気を悪くするだけですので、申し訳ないのですが退席しますね。とても美味しかったです。ご馳走様でした。」
「え、えぇ…。」
呆気に取られたようにこちらを見た恵美さんに少し微笑むと、俺は席を立った。
さっきまであんなに騒いでいた近衛父は何故か静かだった。
「それでは、失礼します。」
バタン、と扉が閉まる。
そのまま外に控えていたメイドに案内されて、廊下を歩いていく。多分この人にもさっきのやり取りは聞こえてたのだろうな。でなきゃ突然でてきた客人に、何も言わずに部屋を案内するなんてできないはずだ。本当に申し訳ない。
しかも途中で離席するなんて、マナー違反にも程がある。
部屋に着いた頃には、俺もすっかり頭が冷えていた。
「………やらかしてしまった。」
いくらムカついたからって、あんなに食ってかかるのは不味かっただろうか。
しかも事後処理もせずに、何もかも放り出して退出してしまったし。
俺が出ていったあとの空気最悪だろうな、絶対。俺なら飛び出したくなる。
だけどムカついたのは本音だ。
実の息子にあそこまで言うか?俺にも何か言ってたような気はするが、正直覚えてない。
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