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E組の真実
あの後、怒った俺を宥めつつ、(その間にも只管可愛い可愛いと言われて散々だったが。)何故か上機嫌になった近衛と学園へ戻った。
車に乗っている間も、わざわざ俺の手を握ってなにかしてこようとするからその度に叩き落としていた。
なんだコイツ、傷心中じゃないのか?
俺が言うのもなんだが、普通こういう時って気不味くなるものでは無いのだろうか。
それなのにこいつは普段通りセクハラをかましてくる。なんなら行きの時の方が紳士的だった。
「照れ屋さんな綾チャンも堪らんな♡」
「煩い、寄るな。」
「さっきの優しさはどこに落っことしてもうたん?」
「いまさっきお前が使い果たしたところだ。」
「釣れないなぁ〜。」
なんて言いつつ、学園につくと近衛はもう一度俺を抱き寄せた。
「…………離れ難いなぁ。」
「近衛…。」
「ま、明日も会えるかもやしな?」
そう言うと近衛はパッと俺から距離をとった。
というか、また明日も会えかもだと。
「何故だ?別に会う予定は、」
「だって、綾チャンまだE組のこと解決した訳やないやろ?行かなあかんやろ?なぁ?」
そう言ってニヤッと笑う近衛の脇を小突く。
「お前な、面白がるんじゃない。」
「はー、綾チャンがE組ぎょうさん来てくれるなんて夢見たいやな?獅堂をつついた甲斐あったわ。」
「………獅堂を、つつく?」
「あ、やべ。」
「近衛!待て!どういう意味だ!」
「じゃあな〜綾チャン!また明日会おな〜!」
何やら変なことを呟いた近衛は、眉を寄せた俺から誤魔化すように離れると、そのままE組の方へと走っていった。
…これは完全に逃げられたな。
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