E組の真実

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「と、言う訳でここに来たんだが。」 「いや、どういう訳だ。はしょんな。」 「冗談だ。」 「………お前でも冗談とか言うんだな。」 担任は呆れたような顔をしながらこちらを見た。 現在俺は担任の数学準備室で、昨日言った通り担任に話を聞きに来た。 「で?E組の話だったか?」 「あぁ。とあるE組の生徒から、過去に教師、又は生徒から『E組は学園の掃き溜め』だと言われたことがあったと聞いてな。生徒からの認識は聞き取り調査でかなり分かったが、やはり教師から見た印象も知りたくて。」 「ふぅん、掃き溜めなぁ。今じゃそんな認識になってんだな。」 そう言うと、担任はコーヒーを1口飲んだ。 いつも通り、腰までありそうな長い青色の髪は、雑に一つにまとめられて前に流している。 コーヒーを飲んだ担任は、お前にもあんぞと俺にもコーヒーを差し出して、そして向かい側のソファにそこ座れと促した。 俺はそれに礼を言いながら座ると聞き返す。 「今じゃ?昔は違ったのか?」 「あぁ。昔は『宝の山』と呼ばれていた。」 「は?!今と真逆ではないか?!それがどうして…」 「ま、こっちにも多少の皮肉の意味は込められてるがな。大体九条、お前はなぜ彼らがE組になったか、その理由は知ってるのか?」 「え?いや、勉強の成績が思わしくないことしか知らないが…。」 そう言うと、担任はうーんと声を上げながら考え込むような仕草をした。 その後、ま、いいかと言うと、担任は言った。 「本当はこういうことを生徒に言うことじゃないと思うんだが、お前には特別に教えてやるよ。……あいつの目と似ているしな。」 「あいつ?」 俺の問いにも答えずに、担任はその蜂蜜色の瞳を細めて言った。 「いいか、E組はな、勉強の成績が選考基準なんだ。」
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