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「1度、E組の生徒とS組の生徒でもの凄い喧嘩が起こったことがあってな。」
「喧嘩…?」
「そうだ。その理由がまあ、お互いが近すぎた故の弊害だったんだよな。E組からしたらS組は勉強の出来るムカつくやつという認識だったんだろうし、S組からしたって、勉強では叶わないくせに生まれ持っての才能だけで入ってきた奴ら、という印象だったんだ。」
「それがなぜE組の隔離と繋がる?」
そう言うと、担任はまあ落ち着けってと笑ってチョコを差し出した。
というかおい、今それポケットから出てきたがチョコだよな?溶けないのか?なんて素朴な疑問は置いておき、俺は座り直して目で続きを促した。
「当時の学園長は悩んだ。元々SとEは会う度に言い合いや殴り合いの喧嘩に発展しやすかったから。それは、多分お互いがないものねだりをしていたから。だから教室を離して、まずはお互いに会わないようにと隔離したんだ。」
「なるほど…。でも、それならE組の選考基準を教えないのは何故だ?」
「そうだなぁ。それは俺も詳しくはわからないが、多分立場が拮抗していたから起きていたいざこざを減らしい。だからE組の足場を崩すっていう雑な処置をしたって所じゃないか?」
「雑すぎるだろ、なんだそれは。ふざけてるのか?それはE組の生徒の価値を貶めていることにほかならないだろう。」
そういうと、担任は声を上げて笑った。
「お前、本当に優しいやつだな。あの九条の所の次男とは思えねぇよ。」
「話をそらさないでくれないか?」
「まあまあ聞けって。それにお前、忘れたのか?S組のこと。」
「何をだ。」
「あそこは、家柄が良いものが多いだろ。」
「あぁ、そうか…それで……。」
拮抗する勢力を何とかするにはどちらかを少し弱める必要があった。
だがS組はその通り後ろの力が余りにも強かった。誰かに脅されたのか、S組の保護者が恐ろしかったのかは分からないが。
だからこそ、そこで選ばれてしまったのがE組だったってことか。
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