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「それで?俺を怒らせて誘導させて、担任は何がしたかったんだ?」
「別に?ただ思ったことを言っただけだし。」
「……よくそんな性格で今まで人に刺されなかったな。」
「褒め言葉として受け取っておくわ。」
そう言ってヒラヒラと手を振る担任に、俺はまたため息をついた。
本当にこの担任は。
嫌われ役を演じ慣れているのが気に食わないな。
「俺はもう行く。」
「そーかい。ま、お前さんも頑張れよ。」
「あぁ。コーヒーもご馳走様でした。」
そう言うと、そりゃよかったと肩を竦めた。そんな担任ごしにちらっと後ろに見える机の上にある紙の束は、多分小テストの山だ。
俺が今日話したいと言ったから、わざわざ丸つけなどの業務をする時間を押して相手をしてくれたんだろう。
「邪魔してしまった俺の言えた義理ではないが、担任もあまりこん詰めすぎるなよ。」
じゃあ、失礼しました。
そう言って俺は部屋の外に出た。
「変な喧嘩を買ってしまった気がする。」
流されないようにすると決めたばかりなのに。
けどまあ、新しいことも聞けた。それも参考にしつつ煽られた例の件も考えていかないと。
それに、実は新歓の開催もかなり迫ってきている。何かいい考えがあればいいんだが。
恐らく、E組の選ばれ方は他言無用だ。
そこを上手く濁しつつ浅桜達からもなにか意見を貰ってみようか。
時計をちらりと見れば5時。
下校時刻は6時だからまだ時間はある。
「…………E組に、行くか。」
正直昨日のことを思い出すからあまり進んで行きたくはないが、近衛にも話したいことがあるしE組の様子も見たいし、丁度いいのも事実だからな。
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