画策

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「ここの裏手に回ると、人通りが少なくなるのでチェックポイントですね。」 「そうだな。…ふむ、今は結構暗いが思ったより見晴らしはいいな。あそこの教室まで見えるのはいい。暗くなるのが早くなる時期までは、ここはこのままでもいいかもしれないな。」 「そうですね、視界も開けていますし。」 回る箇所のチェックをしていると、あ、と隣から声が漏れた。 「?どうした。」 「いえ、あそこに獅堂くんがいたので。」 「え、獅堂?本当か?」 それなら会って話したいのだが。 俺が聞き返すと、頷き返してくれた彼がまたあっと声を漏らした。 その視線の先に俺も目を向けると、何故か獅堂がこちらに向かってズンズンと歩いてきていた。 「獅堂、良かった。少し話したいことが、」 「おいてめぇ、オレのこといつまで待たせてんだボケ!さっさと行くぞ!」 「え?ちょっと待ってくれ、なんの話し、」 俺が聞き返す間もなく、獅堂は再び離れていってしまった。 なんだほんと。 俺は隣にいた委員に謝り、巡回が終わったら帰宅してと伝えて、獅堂の背中を追いかける。 俺がついてきているのを確認することも無くどんどん先に進む獅堂に、俺は少し早足でついて行く。そこはE組の校舎を離れ、俺たちが普段使っている校舎へと続く道を歩いていた。 「何があったんだ?風紀関連か?」 「うるせぇ、黙ってついて来やがれ。」 それだけ言うと、丁度道半ばの辺りで道から逸れて、脇の草むらに入っていく。そしてそのまま、なにやらやけに草の茂ったところにたどり着くと、獅堂は地面の土をばっと避けた。
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