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そのまま土を取り除くと、なにやら取手のようなものが見える。それを獅堂はぐいっと引っ張ると、パカッと地面が口を開いた。
「こんな…仕掛けが……。」
初耳だった。そんな所に仕掛けがあるとは。風紀も発見していなかった場所だ。
獅堂は俺の反応を見て、それから言った。
「こんなんで驚いてんじゃねえ。オレが連れていきたいのはこの先だ。行くぞ。」
人1人が通れそうな穴は、奥へと続く階段が伸びていた。獅堂は慣れたようにその階段をおりていく。
俺もそれに続いて降りていく。
にしてもこれは、秘密基地みたいだな。
まさかこんな仕掛けがあるとは、本当よく分からない学園だ。
そのまま獅堂に続いて降りていると、ここだ。と言いながら重そうな扉を開けた。
「ここは広い部屋か?」
「そうだ。ま、本当に秘密基地みたいなもんだ。」
人が10人は余裕で入れそうな広さのそこは、ゆったりとしたソファや机が置いてあり、部屋の端には何か色々なものが細々と置いてあった。
獅堂は慣れたようにたんすを開けると、棚を物色している。
「ちっ、しけてんな。おい、お茶でいいか?」
「ああ、お構いなく。」
「そーかよ。」
がたがたと漁ったあと、慣れたようにお茶を入れる獅堂に俺はずっと思っていた疑問をぶつける。
「ここはどこだ?どうして俺をここに?」
「あ?んなもん颯さんに頼まれたからに決まってんだろ。ここの説明については、まあ、これ見りゃ分かんだろ。」
そう言って獅堂が指を刺したのは、壁だ。
「壁?」
「ああ。」
獅堂が返事をした途端、壁に何かが投影される。
その図形はかなり見覚えがある。
これは、
「まさか、校舎の地図か?」
「流石に風紀委員長ともなるとすぐ分かるか。その通りだ。それに、ただの地図だと思うんじゃねえぞ。」
そう言うと、投影される地図の上に赤い線が引かれる。その線に規則性はなく、俺が眉をひそめていると獅堂は付け加えるように言った。
「これは、こういう秘密基地も全部網羅した地図だ。」
「なぜそんなものがここに。」
まさか、これを悪用しているんじゃないだろうな?と、獅堂を見る。場合によっては風紀委員長権限で没収することも出来るのだが、これを俺に言うことの危険性をわかっているのだろうか?
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