画策

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あの後、獅堂と別れた俺は真っ先に風紀室に向かった。 扉を開くと、丁度高い書類の山を抱えていた鷹野くんが前を通りがかった。 「ああ、九条さん。お疲れ様です。」 「鷹野もお疲れ。浅桜は居るか?」 「浅桜先輩ですか?奥にいますよ。雅也もいますが。」 「そうか、ありがとう。」 いつの間にか鷹野くんも下の名前呼びにさせるとは、さすが陽キャだな。雅也の手腕に感心しながら奥の執務室に入る。 すると、丁度机に向かう雅也に浅桜がニコニコと何かを教えていた。 あ、あれ機嫌悪い時の顔だと思ったが、出来れば急ぎたいので少しいいかと声をかけた。 「何かな?今取り込み中なんだけれど。」 「すまない、少し聞いてもらいたいことがあって。浅桜の意見も聞きたいんだ。」 「分かった。じゃあ犬飼くん、今言ったことに気をつけながらあっちの部屋で残りもやってみてくれる?」 「は、はいっす!!」 「大丈夫、鷹野くんもいるし最終チェックも俺がするから。」 そう言って笑う浅桜に、雅也がほっとしたように返事をしようとすると浅桜はすかさず続けた。 「でもまさか、さっき教えたことを2度も間違えたりはしないよね?」 「ハイ、キヲツケマス。」 浅桜、後輩を脅すのはよせ。
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