画策

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「まあ、綾斗の考えは分かったよ。色々粗が目立つけど、これからちゃんと練るんだよね?なら俺が口出すことは無いよ。いつも通り、風紀委員長の選択に従うまでだ。」 そう言ってニコリと笑った浅桜から、確かな信頼を感じて思わず頬が緩む。 「ああ。俺も浅桜が副委員長だから安心して進められるんだ、いつもありがとうな。」 担任に煽られて勝手に引き受けたのに、俺の選択を信じてついてきてくれるのは上司冥利に尽きるというか、普通に嬉しいものだよな。 改めて浅桜に感謝しつつ、続けて言う。 「取り敢えず大雑把な案はこの通りで進めていくつもりだ。細かい問題も洗い出した後で、生徒会に提案する。浅桜、生徒会の案の提出期日は明日だったか?」 「そうだよ。一ノ宮が駄々こねて引き伸ばしてなければ。」 「………まあ、大丈夫だろう。榊原もいるしな。」 多分。 頑張ってくれ副会長。 破天荒なやつが上司だと部下も苦労が絶えないよなと、兄上の下につく風間のことを考えながら思った。 「じゃあその方向で調節するんだよね?俺も手は回しておくよ。この際丁度いいから、新入生にもこの学園で問題行動するやつは、風紀が絶対見逃さないってことを教えこもうか。」 「あぁ。誰であろうがどんな事だろうが、校則は守ってもらうし、非常識なやつも必ず取り締まるぞ。」 そう。風紀に日々舞い込むものも、S組が偉いだとか、E組がダメだとか、そういう差別的な考えがこの学園に蔓延っていたから起きたトラブルも多い。 谷塚の件だって、S組で見目の良いという特別な生徒たちに気に入られる庶民という考えの元、それが気に食わない生徒からの私怨による事件が多かった。 だからこれをきっかけとして、この学園特有の変な身分格差のような物も、この件で一掃出来たらいいなと思う。 けどまあいきなりそれは難しいだろうから、取り敢えず最底辺を持ち上げるくらいを目標にして始めたいよな。
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