生徒会への提案

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突然のセリフにドキドキしつつも、君嶋にせっつかれている一ノ宮を見る。 と、突然甘い香りが鼻をくすぐり、ズシッとした重さが肩にかかる。 「も〜、別に会長の嫉妬とかどうでもいいんだよね。却下するならするで、なら会長に変わりの案とかあるわけぇ?」 ふわふわした薄紫の髪を揺らして、俺の肩に手を回す形で体重をかけてきた東雲はそう言った。 というか、何故当然東雲はこっちに寄りかかってくるんだ。重いしやめて欲しい。 「代わりの案なんてある訳ねぇだろ。それに何?嫉妬だと?そんなガキみてぇな事をオレ様はしねぇぞ。つか、それを言うならなんで急にこんな事をし始めたんだっての。直前になって言うことじゃねえだろうが。」 「「いいじゃん〜!どうせ鬼ごっこになる所だったんだし。絶対こっちの方が面白いよ!」」 「テメェらは楽しけりゃいいんだろうが。」 「「そうだよ〜!!!」」 楽しいこと大好き〜!と笑い合う双子に、一ノ宮は馬鹿だと気楽でいいよなぁと言いながら俺の方を向き直す。 「大体、これでお前は上手くいくと思ってんのかよ?綾斗ちゃんよぉ。」 「それは、」 「言い淀むって事はちょっとは不安もあるんだろ?あ?」 そう言って凄む一ノ宮に、俺は眉を下げる。 上手くいって欲しいとは思うが、正直上手くいくかどうかは分からないからだ。なんて返答しようか考えていると、東雲が不意に呟いた。 「ねぇねぇ、会長ってさ、すげー不良っぽい絡み方するよね〜。」 「…………っく、」 「あれ、九条笑ってんの?」 仕方ないだろ。天下の一ノ宮家の長男を捕まえて不良とか、ずるいだろうが。 思わず吹き出してしまった俺は、コホンと咳払いすると気を取り直して続けた。 「お前の言いたいことは分かる。E組を近衛で縛ったところで、完全に偏見を取り払うのは厳しいということだろう?」 「はぐらかしても無駄だぞテメェ!」 「……ダメか。」 こういう時だけ目敏いな、一ノ宮。
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