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そこではたと気がついて立ち止まる。
危ない、忘れるところだったな。
「榊原、青山兄弟。」
「はい。」
「「なになに?」」
「菓子とお茶、美味かった。ありがとう。」
「「ふふふ、どういたしまして〜!」」
「気に入って頂けて良かったです。」
それが言いたかっただけだから、俺はそのままじゃあなと部屋を出た。
その様子を見ていた東雲は、扉が閉じたと同時に呟いた。
「待って俺驚くほど無視されてない?ねぇ。」
「仕方ねぇだろ、蒼だから。」
「「そうそう、蒼だからね〜!」」
「東雲はその、まあ、残念だったな。」
「一くんのそれが1番傷付くんですけど?!?!」
「「まーまー、お菓子食べる?」」
「食べるぅ〜!」
「「あはは、餌付け〜〜!」」
東雲とじゃれ始めた双子を脇目に、君嶋は隣に座る一ノ宮に言った。
「男の嫉妬は見苦しいぞ、光輝。」
「………るっせ。」
普段の彼からは考えられない空回る様子に、先程は思わず口を挟んでしまった。
あの完璧超人な幼馴染が振り回されているのを見るのは、なかなか面白い。
「意地悪なんかせず、直ぐに賛同してやればよかっただろうに。変に突っかかるのは小学生のすることだぞ?しかも言うに事欠いて、近衛の部分に突っかかるとは。」
「チッ!」
素直に「近衛を頼るんじゃなくて俺を頼れ」とか、「それはお前が危険だからやめろ」と伝えられるタイプなら、まあそもそもこんなに苦労はしてないだろうが。
「てめぇはオレ様の親かよ。」
「こんなでかい子を持った記憶はないな。」
全く、この幼馴染は世話がやけるな。
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