理事長室

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「まあなんにせよ、こうして貴方と二人きりでいられる貴重な時間ですから、イチャイチャしてもいいですよね?」 「……それ、浮気だろ。」 「そんなことないですよ。」 「いつも思うんだが、俺にうつつを抜かしている暇があったら、谷塚を奪い返してやればいいと思うんだが。」 そう言うと、榊原はきょとんとした後、あははは!と笑い始めた。 普段貴公子の様に穏やかにいる榊原とは思えない、ハツラツとした笑い声に驚く。 こいつもそんな弾けるような笑い方するんだな。 口元を抑えて優雅に笑う普段とのギャップが凄い。 「貴方、略奪するタイプなんですか?ますます似合いませんね!」 「イメージと違くて悪かったな。」 「いえ、悪いと言ってる訳では無いですよ。それに大丈夫です、これこそ敵情視察の様なものですから。」 「どういう意味だ?」 「そのままの意味ですよ。」 こいつと話していると、時々意味がわからないのは俺が馬鹿だからだろうか? 「よく分からないな。」 「今はわからなくてもいいですよ。」 そういった榊原は笑いすぎて上がっていた息を整えてから、着きましたねと言った。 いつの間にか、理事長室まで来ていたようだ。 「アポイントメントは取ってある。そのまま入るぞ。」 「はい、分かりました。」
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