波乱

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「そんなジロジロ見ないでください!穴あきます!そして気が散る!」 「私の視線は物理に干渉できないですから空かないですよ。大丈夫です。」 少し見つめてるだけですからお構いなくと微笑んだ榊原に、俺はため息をつく。 「お前な、そうやってグイグイ行くのをやめろと前も言っただろう?興奮しているのは分かったから、あまり怖がらせるな。」 「興奮……?」 「あぁ。うん?なんだその顔は。」 なにやら神妙な顔でこちらを見てくる榊原。 え?別に変なことは言ってないよな俺。 なぜだか突然黙った目の前の男に俺は眉を寄せる。 後ろからも小声でコソコソと谷塚がつぶやくのが聞こえた。 「風紀委員長が…興奮…?」 「谷塚?お前までどうした。」 「いやその…いえ、なんでも…。」 「うーん。なんと言うか、普段そういうのに無縁な人が言うと、エッチに聞こえるなって事かな?」 「叔父さん!!!!!!!!!!」 は?? 「……エッチって、あのですね、理事長。」 「うぐ、」 「谷塚?!」 大人としてそういうことを言うのはどうかと思いますと理事長に言おうとした瞬間、谷塚が何やら声を上げて俯いた。 「体調でも悪いのか?大丈夫か?」 思わず視線を合わせるように顔をかしげると、谷塚はああああと呻き声を漏らしながら手で顔をおおった。 榊原はそれに駆け寄る様子もなく微笑む。 おいお前、本当に谷塚の事好きなんだよな? 「ふふ、ハルもなかなかの性癖ですね。」 「薫さんやめて!!!!」
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