波乱

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結局、谷塚は俺たちの反応にそこまで酷くなかったかと安心したのか、理事長に乗せられつつも変装するのは辞めると言ったのだった。 次の日、やはりというか、俺の予想通り谷塚の変わりようにクラスメイトのみならずほとんど多くの学生は混乱しているようだった。 それはそうだ、なんせギャップが酷い。 目の敵にしていた奴らもそのあまりの変わりようにぽかんとし、態度が悪かったヤツらもあからさまに軟化させた。ここまで素直だといっそ清々しい。 周りの態度の違いに、当の本人はそんなにあの変装酷かった?と首を傾げていた。 いやまあ、あれも酷くはあったが、元々のポテンシャルも高いことをあまり理解していないようだな。 しかしそれだけでなく、速攻で親衛隊の申請が来たのは面白かった。欲望に忠実だな。 しかしこれで予想外だったのは、谷塚を巡るトラブルが増えたことだ。 いじめられることは無かったのだが、最悪なことに彼を“獲物”として捉える輩が増えてしまったのだ。谷塚の取り合いやお互いの牽制など、本当にアホかと言いたくなる事案が風紀に転がり込むようになってしまった。 しかも今まで彼に好意的に接してきた人達は、そういう生徒たちに対して、今まで散々コケにしたくせに今更言い寄るなんて、と言い出して喧嘩を売る人もいて困っているのだと谷塚本人から聞いた時は思わず頭を抱えた。
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