認めたくない現実

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まず最初に言わなければならないことがある。 それは、俺こと、九条 綾斗(くじょう あやと)にはこんなことをする前の人生があるって事。 と言っても、どこかで勇者をやっていただとか、そんな大層な話はない。 ただ普通に学生として過ごして、普通にサラリーマンをしていた、本当に普通の人間だ。 …自分で言ってて悲しくなってくるな。 兎に角、そんな訳で平凡な人生を送っていた俺は、とある出来事の後、目が覚めたらこの人生を歩んでいたのだ。 まだまだ小さい幼児だった3歳頃、突如として頭になだれ込んできたどこかのサラリーマンの記憶に、当時はとても驚いて、混乱して、熱出して寝込んだりもしたけど。 そしてサラリーマンの記憶が流れ込んだことによって、3歳だった俺の意識は遠くに流され、20云年生きたサラリーマンとしての自我の方が強くなった。 まあつまり簡単に言ってしまえば体は子供、頭脳は大人!!状態になった訳だ。 元々そんなに頭が良かった訳では無いし、それによって得したこととか特にない。 むしろ幼児扱いの羞恥プレイに耐えなきゃいけなかったからな…。 そして突然ぶっ倒れたと思ったら、何事も無かったかのようにひょっこり起き上がった俺に驚く家族を尻目に、部屋の様子もちらっと見て理解した。 あ、今の俺、すっっげえボンボンだ。と。
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