副会長の恋

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苦笑いしている谷塚に、大変そうだなと他人事のような感想を抱く。 「まあ、要件は分かった。だが俺に関係はあったか?谷塚が変わったのはこいつ自身が変わりたいと思ったからで、お前が考えを改めたのもやはり自分の考えがあったからだろう。」 今更俺に礼を言うのも、律儀すぎるというかなんというか。俺は風紀委員として当然のことをしただけだしな。 「ええ。話はそれだけではありません。実は九条、貴方にもお願いがあるのです。」 「………何をだ。」 「まあまあ、そんな顔はなさらず。簡単ですよ。少しだけ、私に口説かれてくださればいいので。」 「ふん、なんだそんな……は?」 「は?????」 榊原は穏やかにティーカップを傾けている。 俺は自分の耳を疑った。 あとなんか谷塚からとんでもないドスの効いた声が出ていた気がしたが、俺の気の所為かもしれない。忘れていたが、遠くの机で仕事をしていた書記も、驚いたようにこちらに視線を向けている。いや、普通はそうなる。 ただ1人、このバ会長(一ノ宮)を除いてな。 バ会長こと一ノ宮はニヤニヤ笑いながら言った。 「なんだ、薫のくせに面白そうなことしやがって。」 面白くねぇよバ会長。
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