副会長の恋

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「……お前、もしかしてドMなのか?」 「一ノ宮!!!!!」 お前!皆が思ってても言わなかったことを!! 本当、なんてやつだ。 見ろ隣を。お前の愛しい谷塚ですら信じられないものを見る目をしているぞ。 しかし副会長は特にそこには反応を示さず、何故か俺の手を取る。 「なのでこれから暫くの間、よろしくお願い致しますね、綾斗。」 そう言うとチュッと俺の指先にキスを落とす。 ふにっと柔らかいものが当たった感覚に、俺は全身が鳥肌立つのを感じた。 まじかコイツ、本当にまじか。 しかも名前呼びとか、まさか本気なのか? 今更ながら身の危険を感じて急いで距離をとる俺に、副会長はふふっと優雅に微笑んだ。 なぜか谷塚が差し出してくれたウェットティッシュで手を拭いながら副会長を睨みつける。 「お前、頭おかしいんじゃないか?」 「おや、早速罵倒ですか?手強いですね。でもまあ、堕とし甲斐があるのでそれはそれでいいです。」 「うわ、話が通じてない…怖……。」 お前、本命の谷塚にもドン引きされてるぞ。 それでいいのか。 「取り敢えず俺はそれを引き受けるつもりは無い。これきりだ。いいな?諦めろ。」 「そんな、私のハル、いえ、綾斗への気持ちはそのような言葉では止まれません。」 「っ、お前ほんっとやめろ。鳥肌すごいぞ、見るか?」 「柔肌を人前で晒すんですか?」 「…………帰る。」
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