人として、風紀として 1

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とても機嫌の良さそうな聡とは、朝からずっと一緒に行動している。 今朝、いつもの癖で風紀に立ち寄った俺は、偶然通り掛かった雅也に見つかり、 「あ!浅桜せんぱいに入れちゃダメって言われてるんす!!さ!出てってください!」 と返事をする間もなく押し出されてしまった。 雅也もすっかり飼い慣らされているようだ。 …一応俺が風紀委員長なんだがな。 浅桜め…。だから後輩の委員達から裏ボスとか言われるんだ、なんて心の中でボヤきながら、ならば久々に授業でも受けるかと教室に方向転換した。鷹野くんは多分授業はサボらないと思うしな。 因みに雅也は既に候補生として正式に認可されているので授業に出なくても大丈夫なのである。まあ、その代わり勉強に遅れないように後で浅桜からみっちり叩き込まれることになるけどな。 アイツいわく、 『風紀はまさに皆の模範だ。そうであれと思いながらやるべきだし、実際そうあるべきだ。でなければ生徒同士の問題に口を挟む資格もないよ。なのにそんな模範であるべき生徒が馬鹿でいられるなんて、そんなこと思わないよね…?』 という事らしい。まあ要は、馬鹿は風紀に要らないと言外に言っているのだが、それに関して俺も特に異論はないから好きにやらせている。 俺は家で自主的に勉強しているから問題ないが、勉強も忘れがちで浅桜にみっちりしごかれたことがある生徒は、テストの時期になると震え出すからその恐怖は押して図るべきだろうな。 自業自得だけど。
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