人として、風紀として 1

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そんな訳で教室についた俺は、久々すぎてザワつく生徒たちにこれをされるのも久々だなと思っていた。 毎日通っていれば慣れるのかもしれないが、如何せん来る回数が少なすぎて神出鬼没のレアキャラみたいな扱いになっているのだ。 一限は現代文だ。 ノートや筆記用具を出していると、ちょいちょいと背中をつつかれる。 「どうした。」 「おっは〜!一限から来るなんて珍しいな。」 「おはよう。そうだな、この時間からここにいるのは久々だ。」 最早、久々すぎてワクワクしている。 いつもは朝から放課後まで仕事だからな。 俺の背中をつついた聡は、だらっと机にへばりつきながら、俺を見上げる。 「で?なんで追い出されたん?」 「…………。」 「なんだよその顔!どうせ浅桜さんに追い出されたんだろ?本当分っかりやすいな〜、理由言ってみろよ、手伝ってやるぜ?」 「…何故かムカついたから遠慮しておこう。」 「何でだよ!!!!」 何となくだ。 怒る聡に、後で話すからと宥めるとちょうど教師が入ってくる。 因みにこの時間はまだ授業前だ。 その前に軽くHRがある時があり、今日がたまたまその日だったんだろう。 俺を見つけると、眠そうだった蜂蜜色の瞳が見開かれる。 「おいおい、くそハゲ教頭にパシられまくったせいで幻覚見えてんじゃねえか。」 「誰が幻覚だ。あと教頭先生はハゲていらっしゃらないし、教師が生徒の前でクソというのはどうかと思うぞ。」 「あー、これこれ。この生意気な感じもリアルだわ。」 「おい…。」 余りにもわざとらしい言い方に呆れて訂正するのも面倒になりながら声をかけると、担任はニヤッと笑った。
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