人として、風紀として 2

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人として、風紀として 2

前に言ったことがあるかと思うが、俺には少し年の離れている兄がいる。 現在も兄弟仲はとても良好なのだが、そんな兄上たっての希望で、夜に毎日電話で少し話すのが日課になっていた。 その時鷹野くんのことをポロッと零したら、 『そういう奴は押しに弱いから、押して押して押しまくればいい』 というアドバイスを貰ったのだ。 なるほどなと思ったので、今日はちょっと押しを強めにしてみようと思う。 というのを放課後、後ろの席に座っている聡に言うと、珍しく真顔で 「お前の兄さん、相変わらずやっべぇな。」 と言われてしまった。 うーん、そうか?まあ、少し過保護なきらいはあるけど、そこまででは無いと思うんだが。 「いや会話の内容っていうか…まあ、おいしいし、別にいいか…。」 「美味しい?」 「なんも!まあ、そういう事ならそんな感じでアプローチしてみたらいいんじゃね?取り敢えず、また鷹野くん探しに行こうぜ。」 「ああ、その事なら昨日言わなかったか?今日は大丈夫だ。多分そろそろ、」 俺がそう言った瞬間、ガラッと教室の扉が開かれる。入ってきたのは、なにやら苦い顔をしている鷹野くんだ。 やっぱり来たか。 「えっちょ、あっちから来るとか、え?どういうこと?!」 「九条さん!こう言う事するのはやめてください。」 2人から詰め寄られ、俺はまあまあと落ち着かせる。 2日ぶりの鷹野くんは、深緑色の瞳をギリっと向けてくる。 「僕、風紀になる事はお断りさせて頂きましたよね。」 「しかしな、どうしても諦めきれなかったんだ。」 「え?まって、まって俺だけ置いてけぼり?」 混乱したように唸る聡に、鷹野くんはチラッと視線を投げると吐き捨てるように言った。
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