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「…どうぞ。」
「ありがとう。」
「ありがとうな。」
ことりと置かれたお茶を口に入れる。
ふわっと香ばしい香りが広がる。
「ほうじ茶か、美味いな。」
「なら良かったです。でもお茶をするためにここに呼んだわけではないので、早く話しましょう。」
まあ僕の意見は変わらないですけど。
そう言うと、鷹野くんはつんとそっぽを向いた。
隣に座っている聡も、美味しそうにお茶を飲んだ後、そういえばそうだったわと呟いた。
俺も頷いたあと、鷹野くんを見つめる。
「そうだな。ではまず初めに、俺が風紀に君を引き入れたい理由から言ってもいいだろうか?」
「いいですけど、聞いたからと言って入りませんからね?」
「まあ、そこは今はいい。聞いてくれ。」
と言っても、俺が鷹野くんを風紀に引き入れたいのは大きくわけてふたつの理由だけだ。
「1つ目は、単純に鷹野くんが1年で1番成績がいいから。 これは先生方から聞き及んでいる。入学テストの点も1番良かったから、入学式での挨拶もしていたしな。様々な問題を処理する風紀にとって、重要で魅力的な条件だ。」
「はぁ。」
俺が一息つく様子を見ながら、鷹野くんはそんなことだろうと思った、という顔をしている。
まあこれだけ聞くと、本当に成績の良い奴だからって感じになってしまうだろうな。
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