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「そしてもう1つ目は、鷹野が、鷹野だからだ。」
「俺は元から俺ですけど…。」
「あぁ、そうではなくて、義景が、鷹野義景だから、という意味だ。」
「……つまり家柄ですか?立場も弱いから扱いやすいとか、そういう事ですか?」
「いや、うん?これで通じないのか…?」
「は?」
うーん、おかしいな。分かりづらい言い方だっただろうか。
でもなんか狼狽えているし、今こそ兄上のアドバイス通り押すに押してみるべきか。
「あのな、よく聞いてくれ。俺は、義景くんが、鷹野義景として生まれてきてくれたから必要としているんだ。それは家柄とか関係なく、君自身そのものをってことだ。分かるか?」
「は…、な……?」
「ちょ、ちょっと綾斗さん?!」
「ん?なんだ。本気だぞ、俺は。」
「いや、そういうことではなくて!…も〜、本当こいつ…。」
固まる鷹野くんと、何故か慌てている聡に首を傾げる。
勿論、俺は冗談で言った訳では無い。
「そ、それって、だから、鷹野家の長男として…。」
「ふむ。鷹野は随分と家柄を気にしている様だな。この学園を選んだのもその為か?」
「ま、泊をつけるにはもってこいだもんな、この学園。」
「そうか。……鷹野、よく聞け。今の時代、家柄で評価されることは殆どない。少なくとも、俺や一ノ宮、そして、うーん。恐らく久我辺りも実力主義だぞ。」
「それは、貴方がかの九条家で、元々いい家柄の人だから言えることでしょう?」
「そうだろうか?今の時代は天皇などの特別な家系は覗いて、殆どは個人の実力でもなんとかなる人はいる時代だと俺は思うぞ。」
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