人として、風紀として 2

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そう言ってもなお俯いたままの鷹野くん。 聡は何も言わずに俺の言葉の続きを待っている。 「君は少し、自分を過小評価しすぎるきらいがあるな。何をそこまで思い詰めているのか分からないが、人としての価値は勉強や家柄だけではないと思うぞ。」 「でも…、両親は俺にそう教えました。人として大切なのは、知識と教養だと。」 「本当にか?」 「え?」 「本当に、鷹野のご両親がそう言ったのか?」 「だ、だって、でも、」 お、いいぞ。かなり押せてるんじゃないか? いやでも念の為、もう一押しくらい行っておくか。俺は何だか少しワクワクしてきた気持ちを抑えて、鷹野くんに言った。 「俺は立場上、何度も立食パーティーに参加してきたが、実はそこで多くの人と話した中で鷹野の噂を聞くことが何度もあったんだ。」 「えっ、」 「勿論、悪いうさわもあるにはあったけどな。だが1番多かったのは、『鷹野の所の息子は信じられないくらい話が上手い。』」 「……はぁ。」 「あまりピンと来てないか?だがな、勉強が出来ること以上に、社会に出たら重要視される大切なことがある。」 「それは、人との繋がりだ。鷹野。」
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