人として、風紀として 2

6/13

1031人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
「人との、繋がり…?」 「そうだ。どんな繋がりでもいい。勿論悪い繋がりは断ち切るべきだが、ビジネスな関係でも、親密な関係でもだ。話が上手い人、人の懐に潜るのが上手い人は、人との繋がりを沢山持てるから、成功する人間なんじゃないかと思う。」 そう、俺は実はこの学園で彼に出会う前から少し気にしていたのだ。風紀候補生に入れるなら絶対彼だ、と思っていた。 だから浅桜が渡してきた候補の中に彼の名前が入っていたのには思わず笑ってしまった。相変わらず、抜け目のないやつだ。 それも全部、鷹野の所の息子の噂を聞いたからだ。 曰く「するつもりのなかった商談もしてしまった。」だとか、「中学生とは思えないくらい話していて楽しかった。」だとか。 凡そ子供に立つ噂とは思えない内容だった。 それは彼が沢山勉強して知識が豊富で、尚且つ頭の回転も速く、機転が利くからだろう。 「よく言うだろう?『人』は人と人が支え合っている姿にみえる漢字だと。それに風紀に入れば、他のクラスのヤツらや2年生、勿論俺とも『一緒に仕事を共にした』という繋がりができる。これは勉強しているだけでは手に入らないものだと思わないか?」 「………。」 ここまで押せば流石に、大丈夫…だよな? ま、大丈夫だと信じるしかない。 俺は黙ってしまった鷹野くんを見て言った。 「まあ、それでも最終的に風紀に入るか入らないかの判断は君に任せよう。でも忘れないでくれ。俺は鷹野義景でも、君でもなく、ただありのままの君自身の素質を見て誘っているってことだ。」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1031人が本棚に入れています
本棚に追加