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それだけ言うと、俺は立ち上がる。
もうここにいる意味もないしな。
聡も空気を読んだのか、すっと立ち上がると俺についてくる。
「では、邪魔したな。」
「おじゃましました〜!」
鷹野くんから、返答はなかった。
パタリと扉がしまった後、聡は大きなため息をついた。
「いや焦った焦った。まさか突然プロポーズするとは思ってなかったわ。」
「は?プロポーズだと?誰がだ。」
「いやお前のことだからな?!ありのままのお前が欲しいとかさ〜、今どき聞かないだろそんなくっさいセリフ!」
「そうか?事実だが。」
「あ〜やだやだ。イケメン怖い。」
「お前もイケメンだろう、何言ってるんだ。」
「…俺、綾斗のポテンシャルが怖いわ。」
なんのだよ。
しかし、本当にこんなので大丈夫だったんだろうか。彼の投げかけにしっかり答えられた気がしない。
俺がさっき鷹野くんにしたのは、結局「パッとする理由は特にない!でも君がいい!」と強引に押しきっただけだし、風紀に入るメリットも自分で提示しておいてなんだが、これもちょっと弱いと思う。人との繋がりなんて、それこそ風紀でなくても、部活やそのほかの委員会に入ればいいだけだからな。
うーん、考えれば考えるほど不安になってきた。やっぱり、彼が風紀に入るのは難しいかもしれないな。
なんて考えていると、突然背中をとんとんと誰かに叩かれる。
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