人として、風紀として 2

7/13

1031人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
それだけ言うと、俺は立ち上がる。 もうここにいる意味もないしな。 聡も空気を読んだのか、すっと立ち上がると俺についてくる。 「では、邪魔したな。」 「おじゃましました〜!」 鷹野くんから、返答はなかった。 パタリと扉がしまった後、聡は大きなため息をついた。 「いや焦った焦った。まさか突然プロポーズするとは思ってなかったわ。」 「は?プロポーズだと?誰がだ。」 「いやお前のことだからな?!ありのままのお前が欲しいとかさ〜、今どき聞かないだろそんなくっさいセリフ!」 「そうか?事実だが。」 「あ〜やだやだ。イケメン怖い。」 「お前もイケメンだろう、何言ってるんだ。」 「…俺、綾斗のポテンシャルが怖いわ。」 なんのだよ。 しかし、本当にこんなので大丈夫だったんだろうか。彼の投げかけにしっかり答えられた気がしない。 俺がさっき鷹野くんにしたのは、結局「パッとする理由は特にない!でも君がいい!」と強引に押しきっただけだし、風紀に入るメリットも自分で提示しておいてなんだが、これもちょっと弱いと思う。人との繋がりなんて、それこそ風紀でなくても、部活やそのほかの委員会に入ればいいだけだからな。 うーん、考えれば考えるほど不安になってきた。やっぱり、彼が風紀に入るのは難しいかもしれないな。 なんて考えていると、突然背中をとんとんと誰かに叩かれる。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1031人が本棚に入れています
本棚に追加