人として、風紀として 2

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浅桜は、名前を書いている鷹野くんを見ながら言った。 「上手く引き込めたんだね、よかった。」 「あぁ。昨日はダメかと思ったが、何とか説得も効いてくれたようで何よりだ。」 「ふふ、そりゃ、綾斗からの熱烈プロポーズだもんね?断れるわけないよ。」 「お前まで……。って待て、なんでそのことを知ってるんだ?」 「うーん、なんでだろうね?あ、書けたかな?じゃあちょっとチェックさせてね。…うん。よし。大丈夫そうだね。そうしたら、早速仕事の方を手伝ってもらえるかな?」 「はい、僕にできることなら。」 「大丈夫、そんなに難しい事じゃないし、分からないことがあったら教えるから。」 そこまで言うと、少し書類を持ってくるから待っててねと言って浅桜は俺の執務室に入っていった。あいつ、絶対俺より風紀委員長に向いているよな。 まだ朝だから、部屋に来ている委員は居ない。 2人きりになり、静かな時間が流れる。 何となく話す話題も見つからず、ただ座って浅桜を待っていると、鷹野くんが口を開いた。 「あの、九条さん。」 「なんだ?」 「僕、昨日両親には知識と教養が大事だって教わったと言いましたよね。」 「そうだな。」 「それが、僕の勘違い、だったようで。」 「……ふむ?」
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