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E組
E組の生徒、と言うと、大抵の学生はまた何かやらかしたの?という顔をする。
それは、この学園の仕組みの良くない部分をよく表しているとも言える。
上からS、A、B、C、D、Eの6クラスに分けられ、それらはそれぞれ上から成績順になっていると生徒たちは思っている。
まあこれは殆ど間違っておらず、特殊な例を除いて大体の生徒は成績順で分けられている。
これの良いところは、自分の学習進度にあうクラスに入れること、向上心の高いものは上のクラスを目指すのが明確な目的となること。
反対に悪いところは、自分の成績が所属クラスでモロバレすることだな。
だからか、E組は毎年名門の学園とは思えないほど荒れに荒れる。
その為に校舎もわけられていて、Eとそのほかのクラス、特にS組との溝が深い。
そういう風に分けるからいけないのではないかと思ったりもするが、あそこを巡回して、不良に絡まれる頻度を考えるとそれもまあ仕方の無いことなのかなと思う。
だが、俺はこの現状を何とかしたいとも思っている。風紀委員長として、こういうことを見て見ぬふりなんて出来ないだろう。
そこで俺は考えた。
E組からも風紀委員を取りたいと。そうすればよりE組の内情を正確に把握できるし、あちらにとっても身近な存在になるかもしれない。
あわよくば風紀はキラキラしているあちら側の偉そうなやつら、という印象を払拭したい。
そこで白羽の矢がたったのが獅堂季吏だった。
だからこっちの候補生はこっちでとても重要で、何としても引き入れたいのだ。
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