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と、言うわけで今E組の校舎の前に来ているのだが。
「…………獅堂?」
「あ゛?なんだよ話しかけんじゃねえよ、嘘つき野郎め!」
「すまなかった。少しバタバタしていたんだ。時間が取れなかっただけで、忘れていた訳では、」
「うるせぇ!どうせお前もS組の方が大事なんだろ?分かってんだよ!死ね!」
「獅堂…。」
そう、運良く校舎の入口で獅堂とは会えたのだが、覚えているだろうか?
俺は彼が部屋を出て会った時に、
『また明日行くからな。』
と言ったことを。
彼はなんと、それを律儀に覚えていてくれていたらしい。しかし俺はそれをすっかりすっぽかしてしまったのだ。
本当に、反論の余地もない。
威嚇するように睨む獅堂に、俺は眉を下げた。
「本当にすまなかった。どうかもう一度チャンスをくれないか?」
「は????無理。」
「お願いだ。」
「無理っつってんだろ!帰れ!」
取り付く島もない獅堂に、俺はほとほと困った。そう、本当に困っている。
だって俺たちが騒げば騒ぐほどギャラリーも増えているのだ。しかも獅堂いけー!だの、風穴を開けてやれー!だのヤジすら飛ぶ始末。
全く、物騒な連中だ。
それに俺も、ここには少し苦手な奴がいてあまり長居はしたくないのだ。
だから、もう一度懇願するように獅堂を見つめる。
「獅堂……。」
「ぅ、ぐ……。な、なんだよ、言うだけなら…。」
うーーん、この不良、とてもチョロい。
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