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心配になるレベルで押しに弱い獅堂のお陰で、何とか話をすることができるようになった。
取り敢えず周りをとり囲もうとしている生徒たちを、『風紀委員長の九条だが。』と言って追い払うと、獅堂に空き教室に連れていってもらった。
獅堂は乱暴に椅子を引くと、どかっと座った。
因みに今は本来なら授業中の時間だ。
「で?なんだよ。言い訳なら聞かねぇぞ。」
「いや、そこに関して言い訳をするつもりは無い。時間が勿体ないから簡潔に言うが、獅堂、やはり風紀に入ってくれないか?」
「無理って言っただろ、無理なものは無理だ。」
「何故だ?お前自身に、風紀に対する拒否感はそこまで感じられないが。」
「は、はぁ?何言ってんだ!嫌に決まってんだろハゲ!」
「俺はまだ禿げてはいないぞ。」
「そのいずれハゲるみたいな言い方やめろ。」
冷静に突っ込まれてしまった。
「とにかく、オレは入るのは無理だ。わざわざこんな所まで来やがって、俺が快諾すると思ってんのか?」
「ふむ…。なら、お前が嫌がる理由を当ててやろうか。」
「あ?」
「大方、クラスメイトに止められでもしているんじゃないか?『風紀に肩入れするつもりかよ。』とか言われてな。」
さっきから話していて感じたが、獅堂自身はそこまで風紀に対して拒否感は無さそうだ。
証拠に、わざわざ話せる場所まで案内して、こうして話も聞いてくれている。
嫌いならば適当にあしらえばいいのに、だ。
「俺がE組を説得すれば、お前は風紀に入るか?」
「はぁ?!無茶な事ばっか言ってんじゃねえぞ?!」
「いや、少しなら方法はある。…余りやりたくは無いが。」
そう言うと、獅堂は困ったように眉を下げた。
「お前、どうしてそこまで…。オレはE組だぞ。」
「それって何か関係あるか?獅堂が何か悪い事をした訳でもないだろう。お前はお前だ。」
「っ、でもよ、オレは頭も良くねぇし、口も悪ぃし、」
「勉強位なら、俺も教えられるかもな。それに、口なら俺も悪いぞ?」
「はっ、嘘つけ!そんな固苦しい口調で話しやがって!」
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