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「だからこの話はここで終いだ。アンタもさっさと帰れよ。」
そういうと言いたいことを言いきったのか、獅堂は俺の話を無理矢理切って教室を出ていこうとする。
「待ってくれないか。まだ話は終わっていない。」
「うるせぇ!S組は家帰って教科書読みながら、ねんねでもしてろ!」
さっきまでの落ち着いた態度と打って変わり、初めて会った時のように刺々しい言葉を投げかけると、彼は教室の扉をバシンッと空けて出ていってしまった。
「……これ、大丈夫か?」
不良のたまり場、落第生のクラス。
そう噂されていたのは知っていたが、まさか掃き溜めとも言われていたとは。
しかも、見せしめだと?
E組に対するほかのクラスの態度、教師の態度は思ったよりやばいのかもしれない。
それに、彼は終始真摯な態度だったが、それでもS組の奴というフィルターを剥がすのは最後まで無理だった。
彼がここに来たのは恐らく他の人に話を聞かれたくないからで、帰り際に乱暴になったのも、周りのヤツらに『何も問題ない』と思わせるためだ。
結託力が凄いのかなんなのか、それともE組だけの厄介なしきたりでもあるのだろうか。
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