E組

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思ったより相当深かった溝に、俺は思わずため息を着く。 そして、獅堂との会話中ちらっと言った、余りやりたくない選択肢が、チラチラと存在を大きくしてくる。 やりたくない、本当にやりたくない…。 だが、ここまで来て、E組の生徒と話して、それを無視するのは風紀委員長として正しいことではない。これは普通に風紀に誘う案件とは別に、学校内の風紀を良くする本来の風紀の仕事という意味でも、きちんと解決しないといけないことかもしれないな。 取り敢えず、この話は一旦持ち帰って風紀の皆にも伝えておこう。 それに1度、うちの委員たちも彼らに普段どんな態度をとっているのかヒアリングもしておいたほうがいいか。 ちらりと教室の窓から外を見る。 丁寧に手入れされた歩道の向こう側に、俺たちが普段使う校舎がチラチラと見えている。 E組しか収容していなくて、質素でこじんまりしているここと違い、豪華で大きい校舎を、ここの奴らはどんな気持ちで眺めていたのだろうか。 そのまま視線を下に下げると、ちょうど上を見上げていた人物と目線がバチりと会った。 「あ、最悪だ。」 俺、まさか今会うとは思っていなかったぞ。 真っ赤な瞳が、こちらに気付いてにやりと歪んだのが見えた。
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