1031人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
突然真顔になって、俺の耳をすりすりと触った近衛に、俺は混乱する。
「誑かす、っ、て、ん、やめ、」
「その1年ってどいつや。俺が締めとくから、名前を言え。」
「は?ちょ、ひぁ、お前は、な、に言ってるんだ!」
ガンっと近衛の拗ねにパンチを入れる。
突然の俺の動きに少し驚いたのか、動きが止まったすきに抜け出す。
暖かい人の体温から離れて、少し冷えを感じた。
「お前、本当に突然なんなんだ!」
「だってぇ、綾チャン好きなやつおったとか、俺、俺…!」
「はぁ??何言ってるんだお前は。」
なんの話ししてんだ。
…待て、こいつなんか勘違いしてんじゃないだろうな??
俺は、何故か悲しげにこちらを見る近衛に、1からきちんと理由を説明する。
「だから、さっきその話を断られたって言うことをぅお、」
「そーやったん??なんや、驚いたわ!」
「こっちも驚いたわ。突然、へ、変なことしやがって。」
さっきより緩い力で抱きついて来た身体を床に転がす。気安く触るな。
全く、手が早い変態は怖いな。
「くく、照れちゃってかぁわあい。」
「チッ!!帰る!」
「おー、また明日も来るんやろ?ならええわ。」
「お前のところに行く訳では無い!」
「んはは!あ、そうやわ、綾チャン。その件なんやけど、俺も手伝ったるわ。」
「お前が?それは、有難いが…。」
変なこと要求されそうで怖いんだが。
そんな俺の顔に気づいたのか、近衛はニヤリと笑って言った。
最初のコメントを投稿しよう!