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その言葉に、獅堂も頷いている。
どうやらこいつ、突然夜中にE組の生徒を全員集めさせて皆の前で宣言したらしい。
『キリを風紀の方によこす事にした。別に問題あらへんやろ?つか俺に異論言うやつおったらボコボコにしてやる、今出てこい。』
そしてその言葉を聞いた血気盛んなやつが前に出て、いつの間にかただ普通に乱闘していたらしい。
なるほど、道理で近衛も少し眠そうなわけだ。
って違うだろう、夜中に何してんだほんと。
「というか、夜に寮抜け出すのは校則違反だけどね?分かってるのかな、近衛先輩?」
「でも回り回ってこれも綾チャンの為になるやろ?文句だけ言うて何もせんやつよりは、かっこええやろが。」
「校則破ってまで叶えられて嬉しいと思います?」
「そら嬉しいやろ。なぁ?綾チャン。」
「全く、お前たちも喧嘩するのはよせ。浅桜、言いたいことはわかるが、E組にはE組のやり方もあるのだろう。今まで放置していて都合がいい時だけ縛り付けるのは良くない。」
「ほらなぁ?」
「お前もだぞ、近衛。」
なにがほらなぁ?だ。
乱闘騒ぎも夜抜け出すのも普通に校則違反だ。やっては行けないことには変わりないんだぞ。
腕を組んでため息をつく。この2人、何故か出会うと言い争いが耐えなくなる。しかもその内容はだいたい俺だ。まるで友達を取られたくない小学生みたいだと思っている。
そしてそんな俺たちの後ろでは、1年同士で何やらコソコソと話していた。
よく聞こえないが、既に獅堂とも打ち解けたように見えるのは、恐らく雅也の人懐っこさが主な原因だと思う。本当にコミュニケーション能力が高いな、あいつは。
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