近衛のお願い

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そう言うとじゃね!と手を振って会議室を出ていってしまった。 相変わらず話の通じないやつだ。 1人取り残された会議室で、俺はチラッと自分の体を見る。 それなりに鍛えているからしっかりした体、手足も長く、勿論喉仏もある。 声だって低い方だと思う。 「いくら何でも無茶だろう…。」 「なにが無茶なんですか?」 「ゔわっ!?」 突然後ろから声がかかり飛び上がる。 慌てて後ろを振り向くと、手を当ててくすくすと笑う副会長の姿が。 「………お前な。」 「ふふ、すみません。おひとりで可愛らしいことをしていたのでつい。」 「というか、いつ入ってきたんだ?全然気が付かなかったが。」 「うーん、貴方が自分の体を夢中で見ていた頃、ですかね。」 「その言い方やめろ。」 まるで俺がナルシストみたいじゃないか。 半目になっている俺に、副会長はさらにくすくすと笑った。 というか、和やかに談笑している場合じゃないぞ。こいつには散々セクハラされてたんだ、何されるか分かったもんじゃない。 わざわざ近衛が珍しく気を使って会議室で話してくれたのに台無しだ。 俺は警戒するように少し後ろに下がった。 それを見て、副会長は眉を少し下げて笑った。 「嫌ですね、そう警戒しないでください。ここには資料を取りに来たんですよ。」 「…資料?」 「えぇ、次の新入生歓迎会の為のです。もうそろそろですからね。」 「ああ、あれか。珍しくお前たちのところから早く企画が上がってきた奴だな。」 「何故か知りませんけど、光輝が乗り気なんですよね。」
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