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自分で聞いてきた割に興味のなさそうな相槌を打った獅堂に苦笑した。
「大したことではない。まあ、少しどうなるか不安だがな…。」
「不安?はっ、もしかして弱みでも握られたのかよ?ケッサクだなそりゃ!」
「弱みといえるのかは分からんが、あいつの考えてる事は分からないのは確かだな。」
「んだそれ、訳わかんねぇ。何言われたんだよ。」
混乱したように眉をひそめた獅堂。
いや、わかる。俺も混乱している。
あいつがトンチンカンなことを言うのはいつもの事だが、今回はそれにより輪をかけて訳が分からなかったからな。
コーヒーカップに珈琲を注ぎながら俺は言った。
「近衛の彼女として親に紹介させて欲しい、だとよ。」
「ぶっ、は?!か、か、かの、彼女だと?!!」
「訳分からないだろ、何故俺なのか…。」
「いやいや、お前、それ、」
「はは、流石に驚いたか。」
「いや笑い事じゃねえだろ何笑ってんだボケ」
何故かめちゃくちゃ怒られてしまった。
凄くこちらを睨みつけてくる獅堂は、顔を伏せると何かを言った。
「つかそれって、み、み、」
「み?」
「みっみ、みうり……みてぇじゃねえかよ…!」
「身売りだと?!いや、そういうのでは無いぞ?流石に。」
「わかってんだよ!でもそういう感じじゃねえか!ボケ!」
本当に何してんだあんた!と、何故か顔を真っ赤にして怒っている獅堂に、俺は眉を下げた。
まさかここまで怒るとは。
「……もしかしてだが、獅堂は近衛のことが好きなのか?」
「んなわけねぇだろはっ倒すぞ。」
すまん。
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