近衛のお願い

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「つかあんたが彼女とか無理あるだろ、正気か?」 「それは俺が1番聞きたいんだが…。こんな体じゃドレスとか似合う訳ないしな?なぁ、獅堂。」 「…………………。」 「獅堂?」 「っな!あ、当たり前だろ!似合う訳ねえよ!颯さんでも人選ミスすんだな!はは!」 「……もしかして、想像しちゃったのか?」 はは、エッチなヤツめ。 そう言って俺はニヤッと笑う。 ま、1種のイタズラだ。 大体、俺のドレス姿なんて想像しただけで具合も悪くなりそうだがな。 多分獅堂も直ぐに怒るだろ。 でもなんでだろうな、何故か獅堂はからかいたくなるんだよな。不思議だ。 俺は獅堂のツッコミを待ちつつ、いれたコーヒーを飲んだ。 「………。」 「………獅堂?」 「……うるせぇ…ぶっ殺すぞ…。」 なかなか返事が来ないから顔を上げると、何故か顔を真っ赤にした獅堂が弱々しい声で答えた。 「すまない、不快にさせたか?」 凄く怒ってる雰囲気を感じ、俺は慌てて謝る。 すまん、確かに俺の女装?を想像するのはやばいよな。 「………帰る。」 「そ、そうか。気をつけてな。」 「うるせえ!!!!!おまえもな!!!」 そう叫びながらバンッ!と扉を閉められる。 またしても1人で部屋に取り残されてしまったな、と思いながら、コーヒーを飲もうと目線を下に向けると、ちょうど獅堂が座っていた場所に紙が落ちているのを見つけた。 「た、の、ん、だ…?なんの事だ?」 なにかのメモ書きだろうか。 まあ明日獅堂にでも聞いてみるか。 それにしても、これで入れたかった1年も(1人は強引すぎる結果になったが)誘えた。 しかしまだE組の件は改善されてないし、近衛との約束もある。それに新入生歓迎会もある。 少しは楽になるかと思ったが、まだ暫くは忙しいのも確定だな。 「やれやれ、美味しいものでも食べたいものだな。」 ため息をつきながら、取り敢えずコーヒーを片付けて俺も帰ろうと立ち上がるのだった。
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