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約束
「おはよ、綾チャン♡美味しいものでも食べに行かへん?」
「おはよう。…本当にこの格好でいいのか?」
「んはは、無視する綾チャンも最高やな!あ、格好なら綾チャンが着るもんはこっちで用意してるから、なーんにも心配いれへん。」
「そうか、ならいいんだが…。」
前の日、近衛からメールで(連絡先を教えていなかったのに!)私服で寮の前に立っててと連絡が来たからその通りにしたんだが、俺の私服ってバリバリ男物だぞ?まあ、女装して立ってろと言われた暁には多分秒速でお断りしていたけど。
「んじゃ、車も出してもうてるし、はよ行こか?」
「分かった。……おい、腰を掴むな。」
「いやいや、これはれっきとしたエスコートやで?」
「なら俺は男だから要らないな。」
「んな、無理やって!こんなほっそい腰晒されて触らへんのは男の恥や。」
「変態め…!」
すぐに下心を出すのやめろ。
しかしそんな俺に、近衛はまあまあ、これもエスコートされ慣れる練習って事で!と言いだしたので渋々言う通りにする。
もう俺は既に帰りたくなってるけどな。
学園の門の前につけられた車に案内され、俺は後部座席に乗り込む。
「俺と綾チャンだけやしと思て、小さめにしてもうたんや。少し狭いかもしれへんけど、堪忍な?」
「大丈夫だ。問題ない。」
確かに俺は背の高い方だから、普通の車ならかなりきついのだが、これ、多分メル〇デスのマ○バッハだぞ?座席も随分広々としているし狭いなんてことは全く無い。
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