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「取り敢えず服だけ着替えてこい。まだ時間もあるから。」
「ああ、分かった。」
「事情を話しているメイドに任せてあるから、今部屋に案内させる。来てそうそう忙しなくてごめんな?」
「いや、大丈夫だ。問題ない。」
それよりも、俺はさっきから普通に話す近衛に動揺が止まらないのだが。
なんて言葉は飲み込む。
まあすぐ慣れる、筈だ。
すっと前に現れたメイドにご案内しますと声を掛けられる。それに頷き、また後でと近衛に言うと、その後ろについて行く。
入る前から大きいと感じていた館だが、実際中に入るとめちゃくちゃ広い。この廊下だけで前世の俺の暮らしていた部屋くらいの広さはありそう。ここに住めるぞ俺は。
しかもこれで別荘なんだから、世界ってつくづく不平等だなと思う。
やがて大きい扉の前で止まると、すっと扉を開いて俺を部屋に入れる。そのままやたらふかふかな椅子に座らせると言った。
「こちらのお部屋でございます。直ぐに着付けされる方をお連れしますので、お寛ぎになってお待ち下さいませ。」
「あぁ、分かった。」
ありがとうと声をかけるとぺこりとお辞儀をして出ていった。
着付けされる方って言ったか?
もしかして有名な人なのかな。
というか、本当に何を着せられるんだろう。
彼氏って事は女装はしなくていいんだよな…?
でも顔がバレるのは困るんだが。
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