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それから直ぐに扉が開いて、入ってきた人物を見て俺は目を見開いた。
「なっ、な、東雲?!」
「は?!九条綾斗?!!!」
なんと、俺をコーディネートしてくれるのはまさかの生徒会会計、東雲蒼だった。薄紫のふわふわの髪は肩につくくらいで、左側だけ青いメッシュを巻き込むように編み込みをしている。
緩く垂れた目は優しげで、瞳の色はパパラチアサファイアばりの美しいピンクだ。
その造形美は圧巻で、この世の至宝とか、生きる女神とか言われているらしいのだが、その実あっちの方にかなりだらしなく、風紀にも痴情の縺れからの乱闘騒ぎが良く舞い込んでくる女(男も)泣かせのクソ野郎だ。
「ちょっと待って??俺、近衛先輩に彼氏のコーディネート頼むわって言われたんですけど?!それがなんで風紀委員長!?!」
「は?!彼氏だと?!くそ、あの人俺に黙ってたな…!いやまて、東雲、これには訳があってだな。」
「え…、え?もしかして付き合って…?」
「る訳がないだろう!」
とんでもない勘違いをするな!
いや、でもこの状況なら仕方ないか…。
東雲は整えられた眉を八の字にすると言った。
「あー、取り敢えずコーディネートするから、やりながら事情教えてくんない?」
「………分かった。」
言うほどのことでもないが、それで俺が近衛の彼氏だと勘違いされたままなのは嫌だからな。
それから俺は、東雲に色々といじられながら訳を話した。
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