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倫太郎が眠りに落ちたあと、紅葉はいとおしそうに倫太郎の頬を撫でる。
「……ごめんね、倫太郎お兄ちゃん」
そう言う紅葉の目は、静かに涙を流していた。
「私の身勝手な願いに付き合ってくれて。」
紅葉は東の空を見る。
「ねぇ、倫太郎お兄ちゃん。
もう少しで、夜が明けるよ。
私は、やっと願いを叶えられる。」
倫太郎お兄ちゃんと、一緒に死にたい。
それが、紅葉が吸血鬼になったときに最初に持った欲望だった。
「一緒に、眠ろう、倫太郎お兄ちゃん。」
紅葉は眠る倫太郎に深いキスを落とす。
夜が、明ける。
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