4人が本棚に入れています
本棚に追加
『今どこにいますか』
夜中にいきなり来たリナからのLINE。
ポップアップしてきたその送り主の名前に、不意に胸がギュッと締め付けられたようになる。
3年ぶりだろうか。本当に懐かしい名前だ。
もう俺の中では過去の話で、記憶の彼方に無理やり追いやっていたはずなのに…。
未練がましくLINEの IDもトーク画面もそのまま残していたので、スマホに表示されたその名前を見た途端、封印していた彼女と付き合っていた時の記憶が蘇ってきた。
---なんだ。結局3年経っても、俺は、まだリナのことが忘れられてなかったってことだな。
俺に似つかわしくないほど清楚なお嬢様で、いつも周りにちやほやされて、キラキラ輝いていたリナ。
田舎出身で、そんな彼女に釣り合うよう精一杯、時には無理をしながら頑張っていた俺。
でもある日、リナに突然、別れを告げられた。
本人からは詳しくは聞いてないけど、どうやらどこかの御曹司に乗り換えたらしいと、風の噂で聞いた。
それ以来俺は、まるで紙クズのように荒んだ生活を送っている。
その時勤めていた大手の会社を辞め、その後飛び込んだブラックな企業で、安い給料で働き、アパートには数時間寝るためだけに帰ってくる毎日。
友人は缶ビールとスマホ。
それだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!