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「ねぇ、ノワール。どこまで本気だと思う?」
唐突に何の事だろうかとアリアを見ると、彼女は顔の近くまで膝を曲げ、ルゥナが出ていった扉を見つめていた。
「ルゥナのことか?」
「他に何があるの」
なるべく主語を明示してくれるとありがたいのだが。
「さっきだって、すぐ嫉妬するとか言って。それってアリアをからかってるの?それとも自分の主人をとられたくないって意味?ノワールはどう思う?」
とりあえず、朝起きてすぐ考えることではないかな。
「俺から言えることはあまりないが、ルゥナの言動はすべて本気だろう。彼の性格は俺よりアリアの方がよく知ってるんじゃないか」
「……うん」
嬉しそうな顔。そんなあなたの顔を見ると俺も嬉しくなる。不安に思う必要はないよ。彼があなたを裏切ることはないからさ。
「アリア様、起きましたか」
「スティラ。おはよう」
「おはようございます。なんだか嬉しそうですね。ルゥナが彼に嫉妬でもしましたか」
さすがスティラだ。ルゥナのことをよくわかっている。彼女は、アリアやルゥナのことは特にだが、この館のことをすべて把握していると思う。
「いいから、着替え」
「はい、今日は赤を基調としたドレスにいたしました」
彼女は全体的に鮮やかな赤色に染まった、可愛らしいドレスを掲げた。アリアも先ほどのこともあり、心が躍っているようだ。
きっと似合うだろう。アリアに似合わないものはない。
「じゃあ、俺も出ていくな」
さすがにこれ以上ここに居るわけにもいかないだろう。男として。
「別にいてもいいのに」
冗談でもからかうでもなく、さらりと本気で言われる。
彼女は本当に俺をオスとしてしか見ていないようだ。別に今更そんなことにこだわりはしないがな。
「いや、そろそろブランにあいさつしてくるよ」
俺はアリアの部屋を後にした。
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