俺の居場所

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 (ブランはどこだろう)  ブランというのは、もともと俺専属の使用人だった男のことだ。この館に来て、俺と同じように姿を変えられ、今は彼の髪のように真っ白のカラス、普通より大きめのカラスとして生活を送っている。ちなみにブランという名前も、アリアがつけたもので、人間の時は違う名だった。しかし、今となっては本当の名前すら忘れてしまった。もちろん、俺の名前も同様である。  この屋敷には俺たちみたいなやつが他にもいる。だが、アリアたちと積極的に関わっているのは俺たちぐらいで、それぞれ好きに暮らしている。  この館は本当に広いから、どのくらい、どんな奴らがここにいるのかもわからない。こないだ足の着いたヘビのような奴を見た。初めて会ったのだが、俺の姿に彼(彼女?)はすぐ逃げてしまって話はできなかった。  ブランも他の奴らも、もちろん俺も、こんなことになるなんて思ってもみなかった。普通に人間としての人生を送るはずだった。  この館に入らなければ、あの森で迷わなければ、そもそもあの森に立ち入らなければと後悔している奴もいるだろう。だが、こうなってしまったからには仕方がない。俺はそう思っている。  この館に足を踏み入れた時点で俺らの運命は決まってしまったのだから。  そう、この“呪いの館”は、俺たちを決して逃がさない。
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