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「魔女が関わってくると何が起こるかわかりませんからね」
魔女は人間を惑わす存在だといわれている。実際はどうだか知らないが。
「ただの噂で立ち止まっても仕方ないだろう?道もあるし、日も高い。それにお前がいる。とりあえず進まないか?」
「……」
ブランがきょとんとしたように俺を見る。
「なんだ?」
すると今度はクスッと笑った。
「いえ、そういうところ、お兄様に似ているなと思いまして」
「兄さんに?どこが?」
「なんというか、楽観的なところが」
「俺は楽観視しているわけではない。ここで話していても仕方ないからとりあえず進もうといっただけで」
「そうですね。失礼いたしました。では、参りましょうか」
まだにこにこしている。本当にわからない。俺なんかが兄さんと似てるわけないのに。
「……そういえば、ブランは魔女に会ったことがあるんだっけ?」
「ええ。人が多い街には割といますよ。大体が正体を隠していますけど」
「どうして?」
「端的に言えば生きるためです。魔女だというだけで、人間の目は変わりますから」
「悪いことをしなくても?」
「ええ。もちろん街によりますけどね。魔女に対し何らかの処置をする街や、反対に受け入れて魔法を活用しているところなんかも。芸術の街は後者のいい例かもしれません」
「色々あるんだな。俺も会えるかな」
「会いたいのですか?」
「まぁ、会ってみたいな。知りたい。何よりもブランが見聞きしたことを、俺も見聞きしたい」
「好奇心を抱くのはとても良いことですが、もう少し危機感を持っていただけますと、私としては安心できるのですが」
「俺って危機感ない?」
「少々心配になることはあります」
「仕えてる者に対し失礼じゃないか?」
「これは申し訳ありません」
俺たちは視線を合わせ、笑いあった。
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