第一章:憎愛の浄化

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 意味のない会話を交わしながら、車が来ていないことを確かめ道路を横断し、真っ直ぐコンビニへ歩いていく。  せっかくだから温かいお茶でも買おうかと逡巡しかけた矢先、相手が私たちに気づいてすぐに外へと出てきたため、即座に買い物は諦めた。 「おは……じゃなくて新年あけましておめでとう! 今年もよろしくね」  冷えた空気に、活発な少女の声が響き渡る。  平坂(ひらさか)美都羽(みつば)、高校二年。小学生の頃からの友人で、私の一番の親友でもある。  中学生の時から陸上を続けているからなのか、体型はバランスよく引き締まっており、他の同級生たちからも羨ましがられているのを過去に何度か目撃している。 「あけましておめでとう。こちらこそよろしく」 「平坂先輩、あけましておめでとうございます」  すぐ側までやってきた美都羽へ姉妹それぞれの挨拶を返し、スマホで現在時刻を確かめる。 「今の時間帯でも神社はそこそこ混んでると思うけど、初詣が済んだらその後はどうする? どこかでお茶でもする?」
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