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「そういうのももちろんわかるけど、お金のことばかりを考えながら携わってはいけない仕事をしている。そういうこともちゃんと自覚しなくちゃ駄目ってことよ」
「そりゃ仕事なんだから真面目にはやってるって。でも、お金があっての生活でしょ? そもそもがお父さんの代わりに働くってのがきっかけだったんだし」
私の言葉に唇を尖らせる夢愛をチラリと見て、私はふぅっと白い息を吐き出す。
「だから、そういう部分とは別にしっかり仕事に対する責任みたいなものを、自覚して持ちなさいってことよ」
「だから、真面目にやってるって言ってるでしょ」
夢愛の声に、若干の鬱陶しさが混じるのを感じ取る。
この子の性格上、これ以上この話を続けてもへそを曲げられて終わりか。
妹が生を受けてから十五年、離れることもなく一緒に暮らしているおかげで、どんな性格かは否応なく把握している。
こんな場所で下手に怒らせて喧嘩にでもなり、“水浸し”にされても面白くないし、美都羽にも迷惑がかかるだけだ。
もうこれ以上仕事に対する心構えを話題にするのは、止めておくのが無難だろう。
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