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「ママは仕事で疲れ、パパは育児と家事で疲れているの。ごめんね。ソラリ」
その夜は母乳ではなくミルクの日で、真子はお風呂に入ると先に寝てしまい、遥希は手を洗って慎重にミルクを作り、空吏に授乳をして小声で語りかけた。
「もう、ママには不思議な事があっても言わないよ。きっとソラリは知能の高い赤ちゃんで、パソコンもiPhoneもできて、動物ともコミュニケーションできるのかもしれない。大人になると能力は失うけど、赤ちゃんのソラリならあるかもね?」
その時、嬉しそうにミルクを飲んでいた空吏がニコッと笑ってエクボを作り、パチっと一度瞬きをして返答したように見えた。
「わ、わかったの?」
遥希は偶然とは思えずに哺乳瓶を口から離し、ベビーベッドに寝かせて顔を近付けて問いただしたが、生後2ヶ月の赤ちゃんが喋れる筈がなく、その夜は反省して眠れなかった。
『この時、僕は真子が言ったように育児ノイローゼになったのかと悩んだ』
しかし数ヶ月が過ぎると不思議な現象を見る事が多くなり、遂に狂ったかと精神科に行く事も考えたが、素直に空吏の能力として受け入れる事にした。
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