ソラリの告白

2/2
前へ
/101ページ
次へ
 雨に濡れる庭が映るガラス戸を背景にして、リビングの隅っこを空吏(ソラリ)が行き交い、何か相談でもあるのかモジモジとこっちを見たので、遥希は笑顔で床に座って対面した。 「どうかした?ソラリ」 「もー、いいかな?ちょっと迷うぜ」 「えっ、何がだよ?」 「マコは知らないけどさー、ハルキはなんとなく変だと思ってるだろ?」  空吏(ソラリ)は遥希と二人だけだと、両親の名前を呼び捨てにし、大人びた口調で喋る事があった。声は可愛い赤ちゃんのままで、最初はアテレコかと疑ったがもう慣れている。 「そうだね。不思議な感じだけど、早熟な木が果実を実らせても、成長期になれば他と変わらなくなると父に教えられた」  遥希は空吏(ソラリ)が天才であっても、特別視しないで自然に接し、庭師の父が口癖のように言っていた、日々の手入れが重要だというのを思い起こす。 「だから、大丈夫。何か言いたいことがあるなら、何でも言ってよ」 「ありがとう。ハルキはいいヤツだな。ある意味、だから選ばれたのさ。ハルキ、ボクは宇宙人の子どもなんだ。でも、絶対に秘密だよ。バレると家族全員、殺されるからね」
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加