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雨に濡れる庭が映るガラス戸を背景にして、リビングの隅っこを空吏が行き交い、何か相談でもあるのかモジモジとこっちを見たので、遥希は笑顔で床に座って対面した。
「どうかした?ソラリ」
「もー、いいかな?ちょっと迷うぜ」
「えっ、何がだよ?」
「マコは知らないけどさー、ハルキはなんとなく変だと思ってるだろ?」
空吏は遥希と二人だけだと、両親の名前を呼び捨てにし、大人びた口調で喋る事があった。声は可愛い赤ちゃんのままで、最初はアテレコかと疑ったがもう慣れている。
「そうだね。不思議な感じだけど、早熟な木が果実を実らせても、成長期になれば他と変わらなくなると父に教えられた」
遥希は空吏が天才であっても、特別視しないで自然に接し、庭師の父が口癖のように言っていた、日々の手入れが重要だというのを思い起こす。
「だから、大丈夫。何か言いたいことがあるなら、何でも言ってよ」
「ありがとう。ハルキはいいヤツだな。ある意味、だから選ばれたのさ。ハルキ、ボクは宇宙人の子どもなんだ。でも、絶対に秘密だよ。バレると家族全員、殺されるからね」
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